― BLUE ―

「そんなの…、なんかおかしくない? だって突然にだよ? それって…、あたしが…、あたしがマコの友達だからじゃないの?」

「…——え?」

「いままで苗字すらちゃんと憶えてもらっていなかったのに……。突然名前で呼ばれて…。本当はすごい嬉しいのに…」

「千草…」

「シンとまたなんかあったんでしょ?」


千草の目が少し潤んでいる。


「……うん」

「なんなの!?」

「あ、佳代ごめんね。後できちんと説明するから」


そしてあたしは今朝の出来事を、すべて千草に話しはじめた。

喋っているあいだ、千草は一言も口を出さずに少し視線を落として聞いている。

だけど時々くいっと視線を上げては、ため息をついた。


「——だから、もういいの」


私は両手をテーブルの上でしっかりと組んで、千草の顔から目をそらさずに話し終えた。


「はあ? なにそれフザけてんの」

「だって」

「いいわけないじゃんっ!!!」

「千草」

「あんたそれマジでいってんなら友だちやめるから」


激しい口調でそういいテーブルをドンッと叩く。


「あのさマコ。これでいいって、なにがいいの? それでいいわけないでしょ??」

「だって、いままでどおりになんて無理」


また千草のため息が聞こえる。


「マジさ。なに言ってるわけ?」


そしてイラついたように指先をテーブルにカチカチ打ち付けた。


「いまのままじゃ…、シンがかわいそうなの、そんなのもわかんないの?」


話し終えたことだけでも頭が空白になって上手く回らないあたし。千草がいいたいこともよくわからない。言葉に詰まってしまう。

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