― BLUE ―
「それ杉本くんにいったの?」
「いってない」
「そっか。千草が怒るのもわかるかな」
「……」
今日のあたしは、自分でも驚くほど感情が高ぶりすぎてしまった。
杉本の前で涙を見せないようにするために、押さえ込んでいたものも全部吐き出した気分。
まだ残っているのは、それでもやっぱり杉本が好きだという想いだけだ。それなのに、なにしているんだろう。
「——ふたりのいうとおりだよ。バカだ、あたし」
そして携帯を開いて杉本にメールを打ちはじめた。
《屋上で待ってるから来てほしい》
打ち込んだあと約束しなければ会えなくなってしまってきているのを実感した。ひょっとすると、今日のあれが最後の"たまたま"だったのかもしれない。
「ごめん佳代」
「マコ!?」
「あたし杉本に会ってくるっ!ありがとう!!!」
そして鞄を掴んで脇に抱え、佳代の返事も待たずに飛び出した。
目指すは学校。
猛ダッシュ!
だけど息は上がる。
「はあー…、はあー…」
ちょ、ちょ!!
待ってストップ。
駅前から学校まで走るのキツすぎる!
「つら…っ!」
まじやばい。
てかしんどい。
苦しい。
「はあー…、はあ…っ」
だけど……!!
あたしの屋上の鍵は家に置いてきたままだ。
学校にいる杉本なら、あたしよりは先についているはず!
「はあ…っ、」
やばいよこれガチで。
何年ぶりの全力疾走なのよ。
「はあ…っ、はあ…っ、はあ…っ」
気合を入れるために鞄を持ち替える。
学校まではさすがに走り続けることはできなかったけど、屋上への階段は勢いよくのぼるることができた。
「パないマジでっ」