― BLUE ―
「なんかすごい杉本が好きみたいなんだけどっ!!?」
さらにやってしまった。
全力で走ってきたのにも関わらず、いつもと変らない杉本が屋上にいるのを見て思わずムカついてしまい、スイッチが怒りモードに入ったまま。こんなに告白が難しいとは思わなかった。
顔を背けてしまいそうになってしまうのを必死でこらえ真っ直ぐに杉本の顔をみる。
だけど杉本は無言。
なにもいってくれない。
いつもだったら無言でも気にならないのだけれど、
「……」
だ、ダメだ。
この沈黙に耐えられそうにもない。
「とかいっちゃったり…なんかしちゃったり…」
急に顔が熱を持ったかのように熱くなるのがわかる。
いつもの場所に座っている杉本は黙っていて喋りだそうとする気配もない。
「おじゃましました」
クルッと背を向けた。
これでもう完全におしまい。
「バイバイ」
駆け出してしまいそうになるのを何とか抑えつけ、膝の力が抜けてふわふわ縺れそうな足を一歩ずつ前へ踏み出していく。
まっすぐ顔を上げて。あと10歩
「…———よッ」
あと5歩。
もうすぐだ。
「つじっ」
杉本の声が聞こえたような気がした。
けれど幻聴なのか空耳なのか耳鳴りなのか。
頭は響くように痛いし、耳元ではサクサクと血液の流れる音がする。
「辻っ!!」