― BLUE ―
「んで、泣いてるし。ちょっと意味わからないんですけど?」
そしてまた涙が止まるおまじないをしてくる。
「……」
え、でも。
ちょっとまって。
「だって杉本は、」
「ん?」
少し目を大きく開け不思議そうな顔をした杉本は、そのままの状態であたしの言葉を待っている。
「杉本は、由香先輩が忘れられないんでしょ?」
「………は?」
そのまま「は」で固まっている。
「ずっと忘れられない人って」
「すげーな。そんなことまで知ってんの?」
「ちがうの?」
「もしかしてさ、それであんなにキレてたてわけ?」
「——キレてないよ」
「ヤキモチ?」
あたしの頭をクシャクシャして杉本が目を細めた。
「ちがうし」
違うくないけど。
「違うんだ?」
「ちがうよ」
「ふーん、あっそ」
「——誰のこと?」
「ヤキモチ?」
「ちがう」
「じゃ教えない」
「なにそれ」
「だっておまえ。なんか素直じゃないしー」
何が楽しいのか小憎らしいほどいたずらっぽく笑う。