― BLUE ―

「んで、泣いてるし。ちょっと意味わからないんですけど?」


そしてまた涙が止まるおまじないをしてくる。


「……」


え、でも。
ちょっとまって。


「だって杉本は、」

「ん?」


少し目を大きく開け不思議そうな顔をした杉本は、そのままの状態であたしの言葉を待っている。


「杉本は、由香先輩が忘れられないんでしょ?」

「………は?」


そのまま「は」で固まっている。


「ずっと忘れられない人って」

「すげーな。そんなことまで知ってんの?」

「ちがうの?」

「もしかしてさ、それであんなにキレてたてわけ?」

「——キレてないよ」

「ヤキモチ?」


あたしの頭をクシャクシャして杉本が目を細めた。


「ちがうし」


違うくないけど。


「違うんだ?」

「ちがうよ」

「ふーん、あっそ」

「——誰のこと?」

「ヤキモチ?」

「ちがう」

「じゃ教えない」

「なにそれ」

「だっておまえ。なんか素直じゃないしー」


何が楽しいのか小憎らしいほどいたずらっぽく笑う。

< 150 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop