― BLUE ―
「ずっと忘れられない人いるっていってたじゃん」
「それもそうだな」
ふっと小さく笑う。
そして下級生に向かって「というわけで、この人はたぶん俺の彼女です」といって去って行った。なにそれ。
「てかさー、あんたたち見てると腹立つし」
あたしの背中を押してくれた千草。
彼女がいなかったら、いまのあたしはないかもしれない。
「なにが?」
「あたしの前でさ? イチャイチャするなぁ〜〜、ばかーー」
「喋ってただけじゃん」
「それがムカつく」
杉本に告白をしたあの日、あれからあたしは千草にすぐに謝りに行った。
すごく怒って、あたしの前を去った千草だ。だけどきちんと最後まで話を聞いてくれ「あたしってば失恋?」とかいいながら自分のことのように喜んでくれて。
"ありがとう"と"ごめん"を繰り返したあたしに対し、千草は"ムカつくからもう言わないで"といい、ふたりで涙を流した。
「ま〜〜、あたしのことは気にするなっ!けど油断するなよー。隙があったら本気で奪っちゃうから。そのときは文句いいっこなしだからね!」
「ありがとう千草」
「もうそれ聞き飽きたし!」
なにも知らなかった美耶は特にビックリしていて、杉本から聞いたところ教室で質問攻めにあったらしい。
後できちんと全てを説明した佳代も一緒に喜んでくれた。