― BLUE ―
そしてまた、あの長い夏休み。
休みのたび不安になっていたけれど、今度の夏休みはなんだか違う気がする。
「ね、杉本。夏休みどっか行こうね」
お祭り、花火、海とかもいいかも。
楽しみだ…っ!
「おまえさぁ…。こんなんで夏休みとかあるわけ?」
「なにが?」
「ここ」
「どこ?」
「これ間違ってる」
最近こうやって杉本は、ときどきあたしの勉強を見てくれていた。どうやらあたしの頭は奈美より更に上を行くほど、おバカさんらしい…
「……ほんとだ」
「大丈夫かよ…」
「ま、任せて!」
大丈夫かしら…。
だけどこうやってひとつの机で向かい合わせに座っていると、杉本を屋上へと無理矢理連れ出したあのときを思い出す。
あのときは、こんなふうになるだなんて思ってもいなかった。
なんか不思議だな。
「あ、ここも違う。ここも」
「ねー、すぎもとー」
「これも違う」
「ちょっと休憩しよー」
両手を上へ大きく伸ばせてみれば、ついでに欠伸までついてくる。