― BLUE ―

「杉本くん質問があります」

「ハイどうぞ辻さん」

「…あのさー? なんで奈美もいるの?」

「だって毎年恒例の家族旅行みたいなもんだし奈美はくっついて来るよ」


なにそれ。


「そんなの全く聞いてないし」

「だって聞かれてないし」


ええええ〜…。


「おい弟。遅れちまうだろ。そんなとこで油売ってないで、さっさと乗れよ〜」


車の中からお兄さんが出てきた。


「あ、えっと。はじめまして!今日はわざわざありがとうございます…っ!」


見たところお兄さんは、杉本とはあまり似ていないように見える。髪が坊主に近く少しイカつい感じ。


「真琴ちゃん? だよね? あ、マコちゃんの方がよかったんだっけ?」


あ。
笑った顔が杉本に似ている。


「呼びやすいほうでいいです!」

「じゃあマコちゃんのがいいな。俺は秀人、あいつは恵。よろしくね」

「はいっ!」

「荷物後ろ積もうか」

「あ、おねがいします」


持っていた鞄を預けると、お兄さんは杉本を軽く小突いてから「俺まで巻き込むなよ〜」とこそこそ楽しそうに言っていた。

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