― BLUE ―
んん?
なんだろ。
不思議に思いながらも杉本と共に後部座席へ乗り込んだ。
奥に奈美。杉本が真ん中で、あたし。
「マコちゃん。はじめまして、よろしくね」
助手席の恵さんが振り返り笑顔で迎えてくれる。
「ハイ!こちらこそよろしくお願いします」
「あ、敬語いらないよ」
「え、でも…」
「そんなにかしこまらなくていいから」
そんなことをいわれても。
緊張するなあ。
人見知りってわけじゃないんだけれど、初対面の人だとどうしても敬語が抜けない。
「ま、マコちゃんが喋りやすいほうで」
「りょうかいです…っ」
相変わらず杉本はそんなに多く喋ることもなかったけれど、話は聞いてるらしく会話には入ってきた。
「そうそう屋上の鍵は活躍してる?」
「あ、はい!もう大活躍中ですっ!」
「あはは。マコちゃんウケるね〜〜。なんか勿体ないねー…えっと…シンには?」
そう言ってクスクスと笑う。
杉本はお兄さんの前では頭が上がらないようで、その言葉に少しふてくされたような顔をしていた。
「ヒデちゃん!屋上の鍵ってなに?」
「奈美……。お前には内緒だ」
「えぇぇ!ひっどぉ〜〜〜い」
「酷いのは、お前のペタペタ言葉だっての」
「シンちゃん!助けて!ヒデちゃんがあたしのことイジメるぅぅ」
「はいはい、よしよし」
「やっぱりシンちゃんは優しいなあ」
「ほっとくとうるさいから」