― BLUE ―

見てはいけないものを見てしまったからなのか、それとも走ってきたからなのか。
どっちかわからないけれど心臓がドキドキとうるさい。ペタリとその場へ座りこむ。

--別れ話。さっきのあれは、杉本が振られてたんだよね…。
すごい現場に鉢合わせてしまったよ。


「———っっ!!?」


突然、頭上の壁を軽くノックする音。ハッとして顔をあげた。

見上げると壁に手をついた杉本が背後に立って覗き込んでいる。


「こういうの趣味とか?」

「振られてたね」

「————悪趣味だな」

「ごめん」


杉本のあんな姿を見てしまったら、気の利いた言葉とか…、必要ないと思った。

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