― BLUE ―
「なんかさ〜、初めてここに来たとき、あたしの心が洗われたって言うか浄化されたって言うか…?とにかく今みたいな時にくるのが1番いいと思うんだよね。天気もいいしね」
かなり勢いよく喋っているあたし。きっと杉本を慰めたいと思っているのだと思う。
だけど杉本はあたしを見てるわけではなく。話を聞いてるのかもわからない。
「よいしょっと」
隣に座って、同じように足を前に放り投げてみた。
仰向けになって空を見上げたい衝動に駆られたけれど、さすがに制服では無理そうだ。チラリと見ると杉本も空を見上げている。横顔が綺麗で、思わず見とれてしまいそう。
「おい、辻」
杉本は顔をこっちに向けないまま口を開いた。
「こうやって腕を後ろにして、上見てみ?」
いわれるまま、同じように手を後ろにつき見上げてみる。
「うわ」
目の前に大きな空が広がった。というか空しかない。
「———これ、泣きたいときに便利かも」
杉本が少し笑ったような気がした。
そのまましばらくそうしていると、頭上から杉本があたしを覗きこんでくる。
そしてなぜか、あたしのおでこへ触れてきた。なんだろう?