― BLUE ―
これはやっぱり未練なのかな。
毎日のように眺めてた携帯を見る頻度が減っているので、単に変えるのが億劫なだけなのかもしれない。よくわからない。
「それ彼氏?」
いつのまにか杉本が頭を寄せ、あたしの携帯を覗きこんでいた。
「違う」
杉本はなにも突っ込まず。
「よし、いくぞ」
そう言って立ち上がり、座っていたあたしに手を差しだしてくる。
あたしは差し出された手と杉本の顔を交互に見ながら、ポケットから100円ライター取り出し手の平に置いた。こないだ杉本が、あたしのおでこの上に乗せてきたものだ。
手をとるべきなのかは、悩んだのだけれど。
「フ、」
鼻を鳴らすかのように短く笑った杉本。けれど表情は柔らかいようにも見える。
「びっくりしたでしょ?」
「ていうかさー、なんでお前こんなもん大事に持ってんだよ」
そしてあたし達は肩を並べて屋上を後にする。
これから長い夏休み。