― BLUE ―

「ねえ、杉本。どうしてあたしをここに?」


なぜあたしを、ここへ連れてきたのか。


「たまたま」


そう。それはあたし達が1番しっくりとくる言葉。


「今日たまたま会ったから」

「そっか」


だけど2時間以上も、待ってくれたんだね。


「辻は絶対感動すると思った」


この世の中に、こんなキレイな夕焼け見て感動しない人なんていないと思うけれど。

だけどありがとう。


「お前さあ。やっぱ、そっちの方が似合う」

「へ?」

「髪」

「なんだ、気付いてたんだ」

「ブスに拍車がかかって、いい感じ」


あたしのほっぺたを軽くひねってから、いたずらっぽく笑う。

なぜだかわからないけれど、あたしの目頭が急に熱を持った。

どこか杉本に助けられているような気がしたのかもしれない。


「ぶす」

「そりゃ、どーも」


つねられたあと。頬に手をあてて撫でてみると涙を流していることに気付く。

暗くてよかった——…
















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