― BLUE ―
「あ、そろそろ帰らないと」
そんな二人とマックを出て電車に揺られつつ。
それから駅で、じゃあまたね~!と別れ。
とぼとぼ帰宅した。
「あああ…」
そしてあたしは携帯を握りしめ、何度も杉本の番号を表示しては頭を項垂れる。
電話したところで何を話せばいいのかわからない。ひとまず頭を整理しなければ。
だけど無理。
「――ああ…。無理すぎる」
『はい』
「!!!?」
な。
『もしもし』
え。
ちょっと待って。
発信しているよ。
『切るぞ』
「あ、辻です」
『なにか用?』
そんな漠然と聞かれても困る。
用はあるけれど、頭の整理もついていない。
『もしもし』
なにから話せばいいのだろうっ!
ここは腹を括らねば。
「あのさ、杉本」
『なに』
「辻真琴、今日たぶん、最低なことをしてしまいました」
『マコト?』
「はい辻真琴です」
『マコじゃないんだ?』
「はい」
『男みたいな名前だな』
「ですよね」
というか、そんな話をしたいわけではない。
こんなところで改めて自己紹介をする不思議なあたし。
『で、なにしでかしたわけ?』
「それが……」
あたしと杉本。
どういう関係なのだろう。
“彼氏が迎えに来てるよ”と言われては“彼氏じゃない”と否定をする。
こんなあたしたちの関係を周りの人から見れば、どう映るのかな。
彼氏に立候補してくれた中嶋くんには、まだちゃんと返事をしていない。
だいたい“付き合う”とか“彼氏”とかっていうことの定義はなんだろう。
あたしと杉本の関係をさす言葉でないことは、よくわかるんだけれど。