― BLUE ―

もしかすると杉本は、あたしの様子を見て不思議に思ったかも。——いや、そんなことすら思わないか。

だけど何に対してあんなに動揺してしまったのだろう。あたしの知らない杉本がいることは、当たり前のことだと思っているつもりだったのに。

制服じゃない私服姿の杉本を初めてみたときに感じた"知らない人みたい"という感覚に似ている気がする。

はじめて味わう感覚をうまく処理し切れず少し混乱していた。


「ねえねえ、誰か待ち? 俺らも3人なんだけどさ、よかったら一緒に回らない?」

「奢ってくれるならいいよ。ね?」


声を掛けてきた3人組の男に応える美耶は同意を求めるかのようにあたしたちを見る。

彼氏がいる美耶だけど、こういうのに手慣れている感じ。


「りんご飴なら買ってあげよう」

「だって。どうする?」


知らない人から、こんなふうに声を掛けられたことがなかったあたしとしては、どう対応していいのかわからない。千草を見ると、「焼きそばも追加してくれるなら」といった。


「よし決定〜」


あたしたちに声を掛けてきた3人は大学生。うちひとりは帰省中とのこと。美耶が話に食いついていた。

高校ですらまだまともに馴染んでいないと思えるのに、すでに大学のことまで頭にある美耶に感心してしまう。

そのままなんだかんだと時間は過ぎ、また遊ぼうねと番号を交換して別れる。

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