― BLUE ―

「なんか暑いから急にカキ氷が食べたくなった」


そう中嶋くんがいうので、売っているところを探してみる。そういうときに限ってなかなか見つからない。

なので仕方なくコンビニで、それぞれ買うことにした。


「それカキ氷?」


カキ氷が食べたいと言ってたはずの中嶋くんが手にとっていたのはプリン。

それがなんだかおかしくて笑える。


「…——実はさ…カキ氷が食べたいって言ったのは、もう少し一緒にいたいと言う口実だったんだ」


テレたように顔を真っ赤にしていうので、体がこそばゆい。

公園のベンチに座り、それぞれ買ったものを食べた。あたしはシュークリーム。


「マコちゃんに彼氏ができたと思って焦ったよ」


ふたりで座るには大きいベンチ。あたしたちの間には微妙な距離が生まれる。


「彼氏じゃ、ないんだよね?」

「あ〜、うん」


もう何度も口にしてきたことだけれど、中嶋くんから聞かれた事はなかったと思う。


「あの人、カッコイイね?」

「え? 杉本?」


久しぶりに杉本の名前を口から出したので、その音が口に懐かしく響いてきた。

< 53 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop