― BLUE ―
「そう、その…杉本くん? 同じ学校の友達?」
杉本の顔を、ぼんやりと頭の中で思い出してみる。
そういえば制服姿の杉本の顔が、もう褪せている事に気付いた。
「マコちゃん?」
「…——へ? あぁ…うん、友達…なのかな?」
あたしの言葉を聞いて、不思議そうな顔をしている中嶋くん。
だけどあたしの方が、その答えを知りたいと思っているんだもん。
「じゃあさ質問です。俺といるところを、他人から関係を聞きかれたら、なんて答える?」
「うーん…。バイト先のおもしろい人。かな?」
「おもしろい人って!」
そういってかわいらしい顔をクシャっとして笑う中嶋くん。
「じゃあバイト仲間!」
話はいつも面白いしバイト仲間のムードメーカー。
気配り上手だし、自分でも認識していなかった、あたしの少しの変化にも気付いてくれる。きっとモテるだろうな、と思う。
「バイト仲間かー」
「間違ってないよね?」
「それよりさー、」
あたしが映画好きなことを中嶋くんは知っていたのか、それから映画の話になった。
それは公開中の映画の話。
「マコちゃんって、ああ言う映画でも大丈夫?」
「え、あたし? 何でも大丈夫かな」
そういえば、杉本の好きな映画ってなんだろう。
ときどき無意識に、ふっと杉本の事が浮かんでは消えて行く。