― BLUE ―

「そう、その…杉本くん? 同じ学校の友達?」


杉本の顔を、ぼんやりと頭の中で思い出してみる。

そういえば制服姿の杉本の顔が、もう褪せている事に気付いた。


「マコちゃん?」

「…——へ? あぁ…うん、友達…なのかな?」


あたしの言葉を聞いて、不思議そうな顔をしている中嶋くん。

だけどあたしの方が、その答えを知りたいと思っているんだもん。


「じゃあさ質問です。俺といるところを、他人から関係を聞きかれたら、なんて答える?」

「うーん…。バイト先のおもしろい人。かな?」

「おもしろい人って!」


そういってかわいらしい顔をクシャっとして笑う中嶋くん。


「じゃあバイト仲間!」


話はいつも面白いしバイト仲間のムードメーカー。

気配り上手だし、自分でも認識していなかった、あたしの少しの変化にも気付いてくれる。きっとモテるだろうな、と思う。


「バイト仲間かー」

「間違ってないよね?」

「それよりさー、」


あたしが映画好きなことを中嶋くんは知っていたのか、それから映画の話になった。

それは公開中の映画の話。


「マコちゃんって、ああ言う映画でも大丈夫?」

「え、あたし? 何でも大丈夫かな」


そういえば、杉本の好きな映画ってなんだろう。

ときどき無意識に、ふっと杉本の事が浮かんでは消えて行く。

< 54 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop