― BLUE ―
あたしたちの学校は駅前から離れた小高い場所にある。電車通学の子もいれば、自転車通学の子もいるけれど、あたしや咲は徒歩で通える距離にあった。
と、いうのも卒業した中学校を横目にし、そこからさらに10分ほど上ったところに高校があるからだ。
こんな近い距離なのにも関わらず同中の子が10人ほどしかいないのは、そこそこレベルが高い高校だから。同中の子らの大半は自転車で通える距離にある高校へ流れていた。
杉本や美耶が通っていた中学は、その高校に近い。
「おはよー」
「あ、おはよ」
いつもより少し早目に家を出たつもりだけれど、学校に近づくにつれて同じ学校の制服を目にする事が多くなってくる。
同じ制服を見つけると少し嬉しい。同じクラスの子がいないかどうか見回してみると、見覚えのあるふたりが仲良く手をつないで歩いてるのが見えた。
いつの間に? あたしが知らなかっただけで前から付き合っていたのかな。
目の前を歩く仲良さげなふたりは夏休み前よりずいぶん日焼けしていて、夏服の白さが際立っているように思えた。
なんだか長い夏休みを過ぎると、あたしたち一年生は程よく緊張が解けるようだ。上級生と区別がつきにくくなっているように思える。
そして教室に入ると、これまた久しぶりの感覚がよみがえってきた。どこかみんなもはしゃいでいるように見える。
夏休みの間にカラカラ乾いてた教室は、みんなの熱気に少し戸惑っているような気さえした。
「や〜〜んマコーーぉ、元気だった?」
「!!!?」
早速声をかけてきた美耶の姿に唖然。驚くほどのギャルに変身している。