― BLUE ―
「ひさしぶり」
顔を覗きこんでくる杉本の顔が近いように思えて思わず息を呑んでしまう。
「どうした? なにビックリした顔してんの?」
少し眼にかかっている髪の毛がサラリと風で揺れると、ふわっと杉本の香りがしたように思えた。なんだかすごく、とても懐かしいような気持ちになった。
「元気だった?」
あたしがそう尋ねると、制服だと私服と違ってやはりどこか幼さの残る杉本は目を細めてふっと笑う。
「見てのとおり。そっちは、どう?」
「それなりに」
すると杉本は、なぜかあたしの頭をポンッと軽く叩く。フワッと香る杉本の匂い
それはあたしの安定剤でもあるかのようにやさしくて、とても心地がいい。
「マコ〜〜!」
「友達がさがしてるぞ」
「あ、うん」
「じゃ」
そして杉本は再び友達の輪の中へと走り寄っていった。
あたしは杉本の香りを抱きながら美耶の元へと向かう。
新学期。
ここは学校なんだ。
なんとなく、そんなことを思った。