― BLUE ―
「杉本にまたなんか言われてたの?」
「ううん、違うよ」
「なに話してたの?」
「挨拶しただけかな……?」
あれ?
そういえば杉本に何を話すつもりで探していたのだろう。
うーん……。
ただなんとなく?
久しぶりに見た杉本の近くへ、そばへ行きたくなった……、声が聞きたくなったとか。
それとも屋上やバイト上がりに会う杉本でもない、学校での杉本に近づきたくなったとか。
駄目だ、わからない。
いくら考えてみても理由なんてものは見つかりそうもない。
「どうしたマコ?」
「ん?…べつに〜」
屋上でのことや、夕焼けをふたりで見たことなどは美耶どころか誰にも話していない。
話すキッカケがなかったのもあるけれど、なんとなくそれは胸の奥深く、大事にそっとしまっておきたいと考えているのかも。よくわからない。
「それより美耶、なんかすごいね」
そして改めて美耶の姿を見る。
いままで清楚なイメージだった美耶だけれど、髪はかなり明るく染められていた。艶やかなストレートだった髪も今日は丁寧に巻かれている。