― BLUE ―
「——辻さん?」
美耶の後姿を見送っていると背後から急に呼びとめられた。
振り向いてみれば、そこに3人の女の子たちが肩を寄せ合っている。
誰だ? 知らない顔。
あたし達の学校は学年ごとに色分けされている。上履きや校章の色を見ると、同じ学年だと言うことはすぐにわかった。
「えっと、何?」
同学年と確認したあと、真ん中に立っている子へ向かってそういってみる。
あたしを呼び止めたのにもかかわらず、なぜか3人は頭を寄せ合ってひそひそ話し始めた。
「なに? 何か用?」
見ず知らずの女に囲まれると、ロクな事がないことは知っている。
ましてやこの空気。なかなか本題を切り出してこない3人に対し、だんだんイライラが募っていく。
近いところに立っている子が、やっと覚悟を決めたのか口を開いた。
「——突然ごめんね? あのさ、辻さん——…。中嶋って知ってるよね?」
中嶋くん?
3人の目線が集中して、あたしを見る。
「…知ってるけど?」
あんた達の言ってる中嶋くんなのかどうかは、わからないけど。そう言おうと思ったけれど、なんかもう面倒でやめた。