― BLUE ―

「——辻さん?」


美耶の後姿を見送っていると背後から急に呼びとめられた。

振り向いてみれば、そこに3人の女の子たちが肩を寄せ合っている。


誰だ? 知らない顔。


あたし達の学校は学年ごとに色分けされている。上履きや校章の色を見ると、同じ学年だと言うことはすぐにわかった。


「えっと、何?」


同学年と確認したあと、真ん中に立っている子へ向かってそういってみる。

あたしを呼び止めたのにもかかわらず、なぜか3人は頭を寄せ合ってひそひそ話し始めた。


「なに? 何か用?」


見ず知らずの女に囲まれると、ロクな事がないことは知っている。

ましてやこの空気。なかなか本題を切り出してこない3人に対し、だんだんイライラが募っていく。

近いところに立っている子が、やっと覚悟を決めたのか口を開いた。


「——突然ごめんね? あのさ、辻さん——…。中嶋って知ってるよね?」


中嶋くん?

3人の目線が集中して、あたしを見る。


「…知ってるけど?」


あんた達の言ってる中嶋くんなのかどうかは、わからないけど。そう言おうと思ったけれど、なんかもう面倒でやめた。

< 67 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop