― BLUE ―


う゛


まただ…。これを考え始めると胃のあたりがキリキリ痛む。


「いでで…」


大体いつからあたしは、こんなにひ弱ちゃんになったのだ。雨に濡れたせいもあるからなのか今日は耐え切れそうもない。

授業を抜け保健室へ行く事にした。

キリキリ痛むお腹に顔をしかめつつ、授業中の静まり返った廊下をペタペタ歩く。


「あれ……? 誰もいない?」


保健室に肝心の先生がいなかった。机の上の書置きには《すぐに戻ります》と書かれてある。

アバウトすぎるよ先生…。

丸い回転椅子に腰をおろし、先生が戻ってくるのを待つことに。ここは教室とは違ってなんだか落ち着く。気のせいかさっきより胃の痛みもマシになってきた。


「ウィーーン」


暇つぶしに意味もなく、小さい効果音までつけてくるくると回転してみる。これが長く回り続けようと思うと案外バランスが難しい。

全然自慢じゃないけれど結構得意なあたし。


「うぃ〜〜〜〜ん」


調子に乗って勢いよく何回も。


「うぃぃぃぃ〜〜〜〜んっっ」


うえ。なんか今度は気持ちワルくなってきたぞ。

しかしさ。誰もいない保健室でグルグル回って回転酔いだなんて。なにしてんのあたしほんとさ。小さい子供じゃ、あるまいし。

クラクラする頭が少し正常になった頃、虚しくなって少し後悔した。


「あ……」


入ってきたときには人の気配がないと感じたんだけれど。ベットのカーテンが1つだけピタリと閉まっている事に気付いた。

もしかして中でヤラシイ事とかヤってたりとかして? そんな漫画みたいなことはない?

誰かに見られてるわけでもないのに"さりげなく"全神経を耳に集中させてみる。


「……」


なにも聞こえないや。残念。

いやいや、聞こえたら聞こえたで、それはそれで対応に困るのだけれども。

そして壁にかかっている時計に目を向けてみる。

"すぐ"とか困るよホントに。

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