― BLUE ―
「は〜〜〜…」
空に向かって大きなため息。
その真っ白に吐き出された息も、一瞬で消えてしまった。
送ると言ってくれた杉本とあんな風に別れちゃったけれど、変に思っていないかな。——思わないか。
「!!!?」
静かな世界に突然鳴り響く機械音にハッとして息を飲んだ。
“着信シン”
この名前が表示される頃にはシンと呼んでいるのではないかと思っていたころを思い出す。
外れてるじゃん。
「もしもし」
かじかんでいる手で携帯を操作しつつ耳に押しあてた。手袋ぐらいしてくればよかった。
『もしもし』
さっき会ったばかりなのに、なぜか懐かしく感じる杉本の声が聞こえてくる。
『雪降ってるぞ』
「知ってる」
おそらく杉本はあたしがもう家に着いたんだと思っているのだろう。
『夜道は大丈夫だった?』
「余裕」
ほんの少しだけ罪悪感に駆られたけれど。
思わず空を見上げた。