― BLUE ―
「え? ごめん。なんか聞こえなかった」
『後ろ見てみ』
不思議に思いながらも言われたとおり、くるりと後ろを振り返ってみた。
「あ……」
少し離れたところ
「え…?」
携帯電話を耳につけたまま、ぽつんと立っている人影が見えた。
「杉本?」
そのまま携帯を耳にあてたままの杉本は、雪の中ゆっくりとあたしの目の前まで近づいてきた。
「どうしたの?」
なんだか訳がわからない。
杉本たちと別れてから、もうずいぶん時間は経っているはず。
「なんでここに?」
目の前に立っている杉本。耳から携帯を離して、ふと笑う。
本物? まさか雪が見せてる幻影とか。
「雪積もってるぞ」
あたしの頭の上に積もっていたのか、手でパタパタそれを払いのけてくれる。
携帯を耳に押し付けたまま目の前にいる杉本から目が離せない。