― BLUE ―

「え? ごめん。なんか聞こえなかった」

『後ろ見てみ』


不思議に思いながらも言われたとおり、くるりと後ろを振り返ってみた。


「あ……」


少し離れたところ


「え…?」


携帯電話を耳につけたまま、ぽつんと立っている人影が見えた。


「杉本?」


そのまま携帯を耳にあてたままの杉本は、雪の中ゆっくりとあたしの目の前まで近づいてきた。


「どうしたの?」


なんだか訳がわからない。
杉本たちと別れてから、もうずいぶん時間は経っているはず。


「なんでここに?」


目の前に立っている杉本。耳から携帯を離して、ふと笑う。

本物? まさか雪が見せてる幻影とか。


「雪積もってるぞ」


あたしの頭の上に積もっていたのか、手でパタパタそれを払いのけてくれる。

携帯を耳に押し付けたまま目の前にいる杉本から目が離せない。

< 99 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop