人形店


チリンチリン

おや、またお客だ。

『いらっしゃいませ。どんな人形をお探しで?』

今回は子連れの女だ。

「特に希望はないのですが……あなたのおすすめを見せていただけないかしら」

おすすめか、この注文が一番困る。どれも私からしたらおすすめだ。

『では男性の人形と女性の人形どちらか希望はございますか?』

うちは一応男の人形も取り扱ってる。

だが、殆どは女の人形だ。

男の人形は買う人はあまりいない。

買うとしたらだいたい変態かマニアかよくわからない奴らくらいだ。

「どちらでも構わないわ。この子が気に入りそうなやつならなんでもいいわよ」

『でしたらこちらなどいかがでしょう。こちらは私が直接海外に行き取り寄せたものとなっております。』

『この店で男の人形はごく少数しか販売しておりませんのでおすすめです。完全オリジナルなので同じものはこの世にありません。』

そう。完全オリジナル。いろんな意味で……ね、

「それじゃあこれをいただくわ。」

男の人形が売れた。そしていつものセリフをいう。

『ありがとうございます。ここの商品は綺麗ですが傷みやすいので取り扱いにご注意ください。』

そして女は子供を連れて帰っていった。


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