彼女とボクと出会いの季節
「わんこさん、私と新しい家族になりませんか?」
初めて会った時も、彼女はボクに同じ事を聞いた。
ふいっと横を向いて拒絶の意思を示したボクの元に、それからも彼女は毎日のようにやってきた。
そして今、ボクに同じ質問を投げかける。
ボクはまだ、彼のことが好きだ。
彼もきっと、ボクの事を好きでいてくれたはずだ。
でも、もういいだろうか……。
彼と同じくらいに、彼女から伝わってくる“好き”の気持ちを、ボクは受け取ってもいいだろうか。
彼がいなくなってからずっと隠してきた寂しい気持ちを、もう隠さなくても……。
「巡る季節も流れゆく時間も、一緒に見て一緒に過ごして、一緒に生きていきましょう」
彼女は笑った。
ボクを見つめて、嬉しそうに笑った。