いつの間にか 好きだった
帰り 一人ずつ挨拶をしてから 帰って行く


戸田さんは 最後と言う事もあって 自分の物とかを片付けていた


皆んなが居なくなった今 戸田さんと私だけだ


私は壁にもたれて 戸田さんを見ていた
最後だから 忘れないように頭に叩き込まなきゃ


戸田さんは 私がいる事に気が付いてないんだろう


片付け終わって ふと顔を上げた
やっと目が合った


「本当に行っちゃうんですね。」


眉をハの字に曲げ 困った顔をする
困らせたくないのに…


「本社でも 頑張って下さい。」


後はサヨナラ言うだけだ
もう少しの我慢だから 涙流れないで!


「必ず 戻ってくるから。」


最後まで優しい 戸田さん
嘘だって わかってても 嬉しいよ


もう声は出なかった
その代わり 頷いた


それと同時に涙が流れた


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