涙で認めたくない
「ねぇ一樹、答えてよ
一回くらい答えなさいよ!」
やっぱりまだ
何も返事をしてくれないの?
一樹、何でもいいんだよ
腹減ったでも
眠ぃでも
黙れブスでも
「お願いだから
何でもいいから返事してよ
ねぇ、一樹」
空っぽの式場に
私の怒った声だけが響く
「私泣かないからね
信じない
私が泣いて、一樹を殺したくない
一樹はまだ生きてる」
今ならまだ許してあげるから
こんな嘘何があってもつくもんじゃないって
頭ぶん殴ってやるんだから
「さっさと出てきなさいよ
バカ一樹」
もう
早く返事しなさいよ
バカ
「好き、だったよ」
涙は
最後まで出なかった