カボチャ男とハロウィン
「ごめんね、ひっく、私、純哉にひどいこと言ったっ……」
面倒くさい自分を心の中で叱りながら、必死に言葉を紡ぐ。
「き、嫌いだなんて、嘘だよ。ただ、純哉があの子たちと仲良くしてるところを見るのが、つらかったの……」
脳裏に浮かぶのは、もちろん今日の放課後のこと。
放課後、教室で純哉はハロウィンイベントに行こうって誘われていた。
イベントに行く前からすでに盛り上がっている声は、同じ教室にいる私の耳にも嫌でも入ってきた。
純哉に好意を抱いているらしい女の子たちを含んだグループと一緒に純哉がよく遊んでいることは、前々から知っていた。知っていたけど、やっぱりそういう子たちに誘われているところを見るのはつらい。
私がいない場所で純哉の時間を占領することを、たまらなく嫌だと思ってしまう。
でも男子も含んだグループだし、いくら純哉の彼女でも彼氏の人付き合いにまで口出しするのはだめだって、いつものことだから仕方ないって、嫉妬している心を誤魔化していた。
『ごめん千菜ちゃん。あいつらとイベント行くから、今日一緒に帰れないや』
付き合っていても、各自友達との付き合いがあるときは一緒に帰ることもない。それもいつものことで、純哉に遊ぶ予定が入ってこうやって断られることがほとんどだった。
だから今日も、今まで散々聞いてきた言葉を一人虚しい思いを抱えながら聞くだけ。純哉の言葉に頷いて、それで終わるはずだったのに……。
『……嫌だ』
自分でも知らないうちに、沈んだ声でそう言っていた。