クールで強引な王子様
ーギュッ
「矢川君。ごめんね。
私上手く言葉が出ない。
でも、泣いていいんだよ。
泣いてもかっこ悪くなんてないんだよ」
そう言い矢川君を強く抱きしめた。
少しでも心の傷を分け合いたい。
そして、矢川君は静かに涙を流した。
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「城崎。もう大丈夫。
ダサいとこ見せてごめんな。」
そう言い矢川君は私から離れた。
「ダサくなんてない!!
泣きたい時は泣いていいんだよ!
他の人に見られるのが嫌なら、矢川君が泣きそうな時は私が駆けつけて隠してあげるから。」
「ほんっと。
お前変わってんな。
さっき、冷たくしてすまなかった。
城崎のおかげで気持ちが楽になった。
ありがとな。」
きっと無意識なのだろう。
微笑んでくれた顔がとても綺麗で私は不覚にも胸がドキンッとなってしまった。
「最初来てくれた時ほんとうは嬉しかった。」
「矢川君…。」
ニコッと笑った矢川君の笑顔はイタズラ顔をしていた……。
少し素直な王子様に私の胸は鳴り止まなかった。