きたない心をキミにあげる。
「何? これ……」
画面いっぱいに並んだアルファベット、数字、記号の列に目を奪われる。
マウスに乗せた手が固まってしまう。
これは、本当に見てはいけないもの、かもしれない。
一体、何の情報だ?
わざわざコピペしてここに集積した? どうして?
緊張感が体に走り、後ずさりをした、
その瞬間。
「愛美ちゃん」
「……っ!?」
普段よりもワントーン高い、気味の悪い声。
びくりと体が上下に震えた。
振り返ると、私をじっと見つめるお父さんの姿があった。
「何してるの? そろそろ、ご飯だよ」
「え、あ、ちょっとパソコン借りてただけ。すぐ行くから出てって」
急いでパソコンを閉じて、私はそう答えた。
お父さんと2人きりでいたくない。
今、何をしているかバレたくない。
鼓動は早まったまま。無言の時間が流れる。
カレーの香りが2階のこの部屋までただよってきていた。