きたない心をキミにあげる。
ちぇ。抱いてくれてよかったのに。
彼の初めての人になりたかったのに。
「もういいよ。ヘタレオタク!」
頬をふくらませて、私は立ち上がった。
寝ようと思い、部屋を暗くしてから布団に潜り込む。
もそもそと彼の方からも布団の音が鳴った。
「愛美、手」
「え」
「つないで寝よ」
「あはは。……うん」
ガキかこいつは、と思いつつも、絡まった手があたたかくて、そして、部屋に閉じこもっていた疲れがどっと押し寄せて、私はすぐに眠りについた。
圭太、大好きだよ。
今だけは、他のこと全部忘れて、そう思ってていいかな。
ううん。
心の底から圭太への想いがあふれだしている。
まっさらな心で、今、私は彼に恋をしている。
そう信じたい。
ごめんなさい、お兄ちゃん。
でも、たくさんの幸せをくれて、ありがとう。