きたない心をキミにあげる。
父と同じくらいの年の女性は、娘である1人の女子高生を連れて家に来ることとなった。
始めて4人で対面した時、僕は嫌な予感がした。
父は別にこの中年の女性を好きなのではなく、もう1人を狙って再婚したのではないかと。
連れ子である、愛美を。
父は新しい母とうまくやっていた。
僕も新しい家族2人を受け入れたフリをした。
父と同じようにうまく振る舞える僕は、やはり父のまぎれもない息子だった。
それを実感し、どうしようもなく悔しい気持ちになった。
しばらくは、4人になった家族との無難な日々を送っていた。
しかし、ある夜、洗濯機に手を入れる父の姿を偶然見てしまった。
父は何もなかったかのように、洗濯するからお前も何か出すものあるか、と言ったが、僕は気づいてしまった。
父は愛美の下着を手にしようとしていた。
愛美は家に引っ越してきたものの、転校せずに往復2時間以上かけて高校に通学していたし、アルバイトもしていたから、帰るのは夜10時を過ぎる時もある。
父は母が風呂に入っている時や寝静まった時を見計らい、愛美の部屋に侵入していた。
父の本質は変わっていない。
逮捕された時にたくさんの罰金と示談金を払っていたのに何もこりていなかった。
そのうち母にバレないよう、愛美に接触をしてくることが予想できた。
気持ち悪くて仕方がなかった。
だから、僕が先に愛美に好かれてやろうと思った。
それだけだった。