きたない心をキミにあげる。
☆
「バイト再開したいなぁ。店長に連絡して大丈夫だと思う?」
「まじ? 人手不足だしたぶん戻れると思うけど。お兄さんのこと……もう大丈夫なの?」
「うん。バイトしてる方が気がまぎれるっていうか」
心配そうな顔を向けるクラスメイトに、私は軽い口調でそう答えた。
クラスメイトと一緒に、私は高校の最寄りの駅にあるカフェバーでアルバイトをしていた。
一度、バックレ同然で辞めたが、店長に連絡したらすぐ復帰できることになった。
「愛美ちゃん戻ってきたんだ、嬉しい~」
「いらっしゃいませー! あ、お久しぶりです。いつものでOKですか?」
カウンター越しに大学生やサラリーマンの常連客に迎えられ、戻ってきて良かったと思った。
カクテルや料理を運び、軽くお客さんと話をする。
笑顔を作りながら、動き続けるのは疲れる。
でも、忙しい方が余計なことを考えずに済むから、いい。
友達の家にしょっちゅう泊まるのも悪いし、泊めてもらえるような男の人とは全部関係を切っていた。
親に頼らないで早くお金を貯めたいし、
できるだけ家にいる時間を少なくしたい。