きたない心をキミにあげる。
「ちょ、何のぞいてんの!?」
テンパっている俺に対して、ニヤニヤと2人は楽しそうにしている。
「てか誰だよー好きな人って。どのアニメのどのキャラが今のお前の嫁なんだよ!」
「抱き枕か? それともエア彼女か?」
今期のアニメで好きなキャラはもちろんいる。
夏のコミケで危なくある萌えキャラの抱き枕を買いそうになった。
でも、こいつら……俺が二次元にか興味ないって思いすぎだろ!
まあオタクなことに変わりはないですけど。
俺は、ピーピーと騒ぎ立てる2人をにらみつけてから。
「違うよ」とはっきり伝えた。
「え? じゃあ誰?」
「弘樹の妹」
その言葉を口にするだけで胸がしめつけられ、たくさんの記憶がよみがえってくる。
「え? マジ? あいつの家引っ越したらしいじゃん」
「らしいね。その子も遠いとこにいる。でも俺は好きだから」
俺は自分でも驚くほど落ち着いた声を出していた。
目の前には、あっけにとられた表情の友達×2。
しばらくは湿った風に吹かれていたけど。
ふっと楽器の音が途切れた時、2人がぽんぽんと肩を叩いてきた。
友達の死。それを経て出会った恋。
友達はなぜか穏やかな表情を浮かべ、嬉しそうにしていた。
「圭太くんとうとうリア充側に行くんすか。春頃はへんじのないしかばね状態だったのに。どうしたんだよー」
「まあ、だんだんお前カッコよくなってるしなぁ。雰囲気だけ」
「うるせーな。ほっとけよ」