きたない心をキミにあげる。







「いつ頃退院できそうなの?」


「あと1週間くらい。しばらく学校は行けないけど」


「ふーん」



暗くなる空の下、点状に光を放つマンション群が遠ざかっていく。



どうしてこいつと一緒に電車に乗っているんだろう。


そう思いつつも、水越圭太が座っている優先座席の前に人が押し寄せないよう、吊り革を強く握った。



右腕には、お兄ちゃんが買ってくれた金色のブレスレットがある。



窓の外の景色を背景にそれを眺めていると、

ガタンと電車が大きく揺れ、ふらりと足がよろけた。



「つっ」


「大丈夫? ごめん」



水越圭太は長いギプスをしていて膝が軽くしか曲げられない。


その白に、預かった松葉杖をぶつけてしまった。



「ん、大丈夫。それより、こっちこそごめん。立ちっぱなし疲れるでしょ」



片目をつぶりながらも、水越圭太は申し訳なさそうな表情を浮かべた。



こいつが私に気を遣いまくりなのは、お兄ちゃんとの件があるからだろうか。


それとも素?


どちらにせよ、こいつはお兄ちゃんが一番心を開いていた友達なのかもしれない。


だって、私へのプレゼントを買う時に一緒にいたから。



お兄ちゃんは私との関係を外に匂わせるようなことは、絶対にしないはずだ。



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