きたない心をキミにあげる。
蘇生(A)
うっすらと光が差し込み、恐る恐る目を開ける。
がたんと椅子らしき何かが揺れる音が鳴り、
口元を両手で押さえ涙を流す母の姿が視界に浮かびあがった。
「圭太……。圭太!?」
自分の体がどこかにいってしまったかのよう。
全身に神経が行き渡っていない。
特に右足の感覚はゼロだ。
ただ、俺は生きているらしい。
母さん、と言おうとしても口元が何かに覆われているため、声が出なかった。
構わず、「良かった……っ、良かった……ううぅ」と男勝りな性格であるはずの母は泣きじゃくっていた。