きたない心をキミにあげる。
☆
「ほーら。よいっしょ、よいっしょ」
「うるせーな。年寄り扱いすんな」
友達に助けられながら、俺は高校に再び行き始めた。
弘樹の机にはしばらく花瓶が置かれていたが、席替えとともに彼の席は無くなったらしい。
「圭太ぁ! 久しぶり!」
「圭太くん、無事でよかったぁ」
「うん、久しぶり」
笑顔で俺を迎えてくれたクラスメイトにどんな顔をしたらいいか、分からない。
弘樹がいなくなった教室で、どう立ち振る舞ったらいいのだろう。
『圭太、おはよう』
窓からの朝日に髪を茶色く染め、優しく微笑む弘樹の姿はもうない。