きたない心をキミにあげる。
体育の授業はもちろん見学。
ステージに座り3クラス分のバスケ風景を眺めていると、ぜーぜーと息切れをした友達が来てくれた。
「なぁ。そういえばお前、弘樹に会ってきた?」
「会ったって?」
「葬式、来れなかったじゃん」
「あ、そういうこと。……うん。あいつの家に線香あげに行った」
「妹、見た? 可愛かったべ」
「や、俺が行った時はいなかったよ」
「そっか。くぅ~また見たい。まじアイドル級だったし」
「へー。身近な三次元にそんな子いるんだ」
何となく、佐藤愛美に会ったことは言わないでおいた。
まあ、確かに見た目は可愛いよな。
目は二重で大きいし、唇は適度な膨らみを帯びていて、うなじにかかる長さのポニーテールも似合っていた。
俺をにらみつける表情でさえ、絵になるほどに。
そういえば、俺は弘樹の家に彼女がいる姿を見たことが、ない。