きたない心をキミにあげる。
恐怖(B)
☆
『ねぇ、お兄ちゃんって呼んでいい?』
『いいよ。じゃあ俺は愛美って呼ぼうかな』
そう言って、お兄ちゃんが視線を向けてきた瞬間、胸がドキッとした。
家族になった時はお互いにぎこちない距離があったけど、
次第にお兄ちゃんは私に優しくしてくれるようになった。
親の部屋は1階にあって、私とお兄ちゃんの部屋は2階。隣同士。
アルバイトで夜遅く帰っても、お兄ちゃんに会えば疲れが吹っ飛んだ。
お母さんに成績のことで怒られてからは、私の勉強を見てくれた。
寝る前にお兄ちゃんの部屋に寄る頻度が増えた。
家でずっと私のことを守ってくれた。
お兄ちゃんと一緒にいる時間を増やしたくて、アルバイトをバックレた。
その髪型いいね、と言われて以来、ずっと私の髪型はポニーテールだ。