きたない心をキミにあげる。
納骨(B)
☆
あいつ、圭太も片親なんだ。
半年前までの私と同じ。だけど、楽しそうだった。
仲の良い母と息子の光景が、まぶしかった。
うらやましいと思った。
「愛美ー。東高の友達が愛美のこと紹介してほしいって言ってるんだけど……」
「んー。今はいいや。そういう気分ないし」
「そうだよね。ごめん」
「ちょ、謝んないでよー! 本当に今、彼氏いらないだけだから」
次の日、遅刻で行った高校での昼休み。
私は心配そうな顔をしている友達に軽い口調で答えた。
彼氏か。無理だな。
右の袖をまくり、金色の光を見る。
お兄ちゃん以上の人なんていない。
私に近づいてくるのは自信過剰な人やチャラい男が多いし。
まあ、あいつ――圭太はちょっと面白かったな。
『何してんの?』
圭太にラインを送ると、『学校』と返ってきた。
『昼休み?』
『そうだよ。そっちは?』
『私も。今日夜何してんの?』
そう送った後、いくら待ってもスマホが鳴らない。
あれ。返信が途絶えた。
仕方ないか。
私はあいつが持っている罪悪感を突いて、お兄ちゃん以外の居場所を確保してしまった。
圭太の純粋そうな心に付け込んだ、私の心は本当に汚い。