きたない心をキミにあげる。
「愛美、昨日どこ泊まってたの? お父さんも心配してたよ」
「別に、友達の家。それよりおばあちゃん、様子大丈夫だった?」
「入院するかもしれない。また行かなきゃいけないから、その時はお父さんのご飯作ってあげてくれる?」
「は? 無理。私もバイトで遅いじゃん」
「愛美……。いい加減、お父さんと仲良くしてくれない? これからは家族3人でやっていかなきゃならないんだから」
バイトを終え家に帰ると、お母さんに面倒くさいことを言われた。
お父さんは今日、残業で遅くなるらしい。
昨日早く帰ったせいで仕事がたまっているのだろう。
「あとそろそろお兄ちゃんの部屋、片付けるから。参考書とか使えそうなのあったらもらっておいて」
「え……」
「もうすぐ49日じゃない。ずっとあのままにしてても私たちも前に進めないでしょ?」
「あの部屋、どうするの?」
「お父さんが使いたいって言ってる。パソコンとか資料置く部屋にしたい……って愛美?」
私は、お母さんが話している途中でリビングを飛び出し、階段を駆け上がった。