きたない心をキミにあげる。
「あらあらいらっしゃい~」
「すみません、またお邪魔します。また圭太くんが家来いよって誘ってくれ……」
「誘ってないから!」
またもや愛美に話を盛られたが、今回は途中でさえぎってやった。
あれから愛美の父親は大丈夫だったのだろうか。
台所からのキャッキャと笑い合う声を聞きながら、俺はテレビをぼんやり眺めていた。
愛美は再び母の料理を手伝っていた。
今日はハンバーグらしく、母が味噌汁を作っている横で玉ねぎをみじん切りにしていた。
とんとんとん、とリズムよく包丁が打ち付けられる音が鳴る。
料理とか全然しなさそうなイメージなのに。
本当よくわかんないやつ。
でも、今日の出来事について、俺は詳しく知らなければいけない気がする。
愛美を助けること。
それは弘樹の願いでもあるように思えるから。