きたない心をキミにあげる。
恐る恐る横目で愛美を見る。
うわぁ近い近い。てか上目で見るな。
ぎぎぎぎぎと鈍い音が鳴りそうなスピードで逆側へ顔を向けた。
「うわぁ、ヘタレなオタク男ー」
「うるせーな」
「圭太ってさー顔面は悪くないんだから、今みたいに優しくすればモテて、女の子コロッと落とせそうなのに」
「落とせねーよ。モテねーし」
「あはは! っぽいねー」
はぁ。やっぱ俺、バカにされてる。
それを嫌ではないと思う自分にも、ため息をついてしまった。
そりゃ、ちょっとは、いや、すっごく触れたい。
……一応、男なんで。
でもダメだ。こいつは弘樹の妹だ。
愛美も、それを自覚している上で俺をからかってきている。
その日の夜は寝つきが悪かった。
くそ。あいつはハーレム系アニメにありがちな、さえない男の家に突然やってくる美少女か!
きっと、今こんなにドキドキしてるのは、女の子に寄り添われたことがないからだ。
モテない男は、女の子に甘えられるだけですぐ勘違いするんだぞ。
本当、やめてくれよぉ!