きたない心をキミにあげる。



恐る恐る横目で愛美を見る。



うわぁ近い近い。てか上目で見るな。



ぎぎぎぎぎと鈍い音が鳴りそうなスピードで逆側へ顔を向けた。



「うわぁ、ヘタレなオタク男ー」


「うるせーな」


「圭太ってさー顔面は悪くないんだから、今みたいに優しくすればモテて、女の子コロッと落とせそうなのに」


「落とせねーよ。モテねーし」


「あはは! っぽいねー」



はぁ。やっぱ俺、バカにされてる。



それを嫌ではないと思う自分にも、ため息をついてしまった。



そりゃ、ちょっとは、いや、すっごく触れたい。


……一応、男なんで。



でもダメだ。こいつは弘樹の妹だ。


愛美も、それを自覚している上で俺をからかってきている。



その日の夜は寝つきが悪かった。



くそ。あいつはハーレム系アニメにありがちな、さえない男の家に突然やってくる美少女か!


きっと、今こんなにドキドキしてるのは、女の子に寄り添われたことがないからだ。


モテない男は、女の子に甘えられるだけですぐ勘違いするんだぞ。


本当、やめてくれよぉ!






< 79 / 227 >

この作品をシェア

pagetop