きたない心をキミにあげる。
懐疑(B)
☆
『圭太ね、さえないオタク男子になっちゃったけど。旦那が死んだときは、母さんはぼくが守る~! とか言ってたんだよ』
『そうなんですか? 意外です~』
『あの子、昔からゲームとかアニメとか好きだからさー。きっと悪いモンスターから守ることとか妄想してたんじゃない? お母さんはピーチ姫か! ってピーチ姫知ってる? ちょっと古いかな?』
『知ってますよ。最近でもマリオのゲーム出てますから』
『そうなんだー。良かった~あはは~』
圭太の家で、彼のお母さんと話した内容を思い出す。
守る、か。
ヘタレなオタク系男子だし、
そんなキャラじゃないと思ってたのに。
――あの……ちょっと待ってください!
お父さんにおびえる私を助けようと頑張ってくれた。
――や……俺がもっと強かったら、さっき駅前で愛美のこと普通に守れたのかなぁ。
頭を抱え込んで悩んだ後、こう言ってくれた。
圭太は、お兄ちゃんのことがあるから、私に優しくしてくれている。
そう仕向けたのは、私だ。
でも、彼の行動が、言葉が、単純に嬉しかった。