きたない心をキミにあげる。
気味の悪いお父さん、何も知らないバカなお母さん。
まだ食べる前のなのに、胃のあたりがムカムカした。
「それっておかしくない? 圭太も事故の被害者でしょ」
私はお父さんの言葉に反抗したが、
「愛美、いい加減にしなさい」
とお母さんに止められてしまう。
「…………」
いや、だめだ。今は我慢しなきゃ。
目の前の2人に圭太との関係を勘繰られるのは嫌だし、
彼を巻き込んじゃいけない。
無言のまま、私は夕食を口にした。
食後はすぐ2階に行き、お兄ちゃんの部屋に入った。
ベッドや机など大きい家具の処分はお父さんとお母さんですることになったけど、
細かい物の整理は私がすることにした。
制服や教科書、布団など、毎日少しずつ物を減らしていく。
お兄ちゃんがこの部屋にいた形跡を消していく。
もちろん心苦しい作業ではある。
ただ、文庫本が並べられた奥に、ちょっと懐かしい漫画が隠されていたのを見つけたり。
ブックカバーを外すとSF系小説以外に、萌え系の美少女キャラが表紙のやつがあったり、など。
へぇ~お兄ちゃんもこういうの興味あったんだ、と初めて知る事実もあった。
私も別にアニメとか嫌いじゃないし、言ってくれればよかったのに。
ちなみに、この部屋は私が猛反発したため、一応は物置になる予定だ。