きたない心をキミにあげる。







お父さんに反対されたけど、圭太と連絡を取ることはやめなかった。



圭太のケガは回復に向かい、右足のギプスも取れた。


2ヶ月ほど固められたせいで、まだ両足で歩くのは難しいらしいけど。



帰りの電車で『何してんの?』とラインを送ると、たいてい『勉強』とか『リハビリ』と返ってくる。



「やっぱりアニメ見てるんじゃん」


「いーじゃん別に。てか来るなら連絡してよ!」



バイトが休みの日、帰りがけに彼の家に押しかけてみた。



またお父さんとお母さんにうるさいことを言われるのは嫌だったため、

私はなるべくバイトのまかないを食べたり、友達とファミレスに寄ったりしていた。



今日はバイトがなく、友達もつかまらなかった。


このまま家に帰ると、3人で食卓を囲まなくてはいけない。



良かった。圭太がいて。



「ねぇ、勉強教えてくれない? 私このままだと進級できなさそうでー」


「え。俺頭良くないし無理だって」


「よく考えたら圭太も1こ上じゃん。去年の思い出せば分かるでしょ。今まではお兄ちゃんに教えてもらってたから……」



ソファーに座る圭太にそう伝えると、彼は少し困った顔を浮かべた。


こうお願いすれば、圭太は逆らえないことを知っている。



「その代わり、私が今日ご飯作るよ。圭太のお母さん疲れて帰って来るでしょ?」


「分かった。……ノート見せて」



本当、いい人すぎてムカつく。




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