きたない心をキミにあげる。
再び住宅街の中に入る。
車がほとんど通らないような細い道へ。
ここなら大丈夫かな。
私は圭太の腕を取り、松葉杖を奪った。
すかさず、その腕の下に首を入れる。
彼の重みが、私にのしかかってきた。
「え、ちょっと!」
「これで歩けない? リハビリも兼ねて」
「いけるけど。でも……」
「この方が私もあったかいし」
マフラーは圭太の家に置いてきてしまった。
セーラー服の上にセーターを着ているけど、かなり寒い。
左足をアスファルトに押し付け、私の肩に回した腕に力を入れる。
ぴょんと前へ進み、そして、再び左足で地面を踏み蹴る。
私を支えにして、圭太は一歩、一歩、ゆっくりと進む。
足を進めるごとに、彼の振動と温もりが、制服越しに私の体へ混ざっていく。