君のクエスチョン
「ふーっ。窓際ゲット!」



図書室に着くとあまり人はいなくて、日差しが気持ちいい窓際の席にふたりで座ることができた。



「蘭。何の教科やる?」



……最近気づいた。


唯の好きなところ。


わたしの名前を呼ぶ、声色。


わたしは男子にしたの名前で呼ばれることは、唯以外ないから。


その穏やかな声で呼ばれるのが、好き。落ち着く。



「蘭?」


「へ?」



考え込んでいた頭を現実世界に引き戻すと、窓際の席に座った唯と目が合った。


首を傾げて、ずっと黙っていたわたしを心配していたみたい。



「どした? ボーッとして」


「ううん。何でもない。考え事してた」


「好きな奴のこと考えてた?」
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