君のクエスチョン
そしてあっという間に訪れた小テスト。


先生が用紙を配る姿を、獲物を狙っている猛獣のごとく見つめている唯に、少し呆れる。


時間は10分程度で、範囲を確認してしっかり覚えてきたわたしにとっては簡単な方だった。


わたしの成績は、決して良いとは言えないから、こういった点数の取りやすいものでカバーするのだ。


時間が過ぎると、用紙を前の席の人に送って、テスト終了。


先生はこの時間中に丸付けをしちゃうから、それが終わるまでは生徒たちの自由時間となる。


話をしていても全く怒らないこの先生は、生徒たちから『緩い』先生として好評だ。



「らーんー」



隣の彼は、もう力尽きたという感じで机に突っ伏していた。



「なんで、そこまで頑張るの?」


「そりゃあもちろん……」
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