あの日の私たち。
11月21日
「それじゃあ今から、修学旅行の班決めするぞー。席に着けー。」
先生がそう言う。
私は小学6年生の荒金香菜。
4年生の時に、ここに引っ越してきてすっかり馴染んできた。
私は、さっきから勝手にある人を目で追ってしまっている。
それは、私の好きな人。
Sくん。
私はすごく背が高いと言われる。逆に私より背の高い同じ年の人ってなかなか見ない。
でも、Sくんだけは、私より背が高い。
メガネをかけてて、すごく顔立ちが綺麗で、カッコイイ男子というより、美男って感じ。
スポーツも万能で、勉強は学年で1位、2位を争うような頭脳を持っている。
そんな友達も多くて完璧なSくんが、私に合うはずもなくて…。
いつも目で追ってばっかり。

「じゃあ、食事班を決めるぞー。これは、くじ引きで決める。仲のいい子とグループを組んで、そのグループの代表者はくじを引きに来い。」
私は、一番仲のいい、RちゃんとHちゃんとグループを組んだ。
Hちゃんにくじを引いてもらった。
「Sくんと同じ班になれたらいいなぁ。」
なんて、心の中で密かに願ってる。
「おっ。ひとつ班が決まったぞー。荒金のところの班はSの班とくっつけー。そこの6人が今回の食事班だ。」

えっ。うそ。同じじゃん。

うっひょーーー!

と、心の中で1人でバカ騒ぎをしている私。

めっちゃ最高じゃん!
だって夜は、焼肉なんだもん!

「あと、班が決まったら、移動の時に並ぶ背の順の並び方も決めるぞ。」
先生が言った。

そして、背の順決め。
「じゃあ、一番後ろは男女それぞれで一番背が高い、荒金とSが横で頼むぞ。」

えっ。えーーーーーーー?!
移動の時も、ずっと横にSくんがいるの?!
夢見たいな話だよぉ!
「はーい。」
と返事をするSくん。

やばい。最高の修学旅行になりそうだよ。
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